メリットの一方で注目すべきBCPの課題点

さまざまな理由により、BCPはまだまだ介護業界で普及しつくしているといえません。その理由として、策定すべき介護事業者がBCPの策定の必要性を認識していないことが挙げられます。

本来は、大地震や台風といった自然災害やテロなどによって大規模災害が起きた際に、速やかに事業の立て直しを図り、早急な事業再開や事業継続のための計画のことなのですが、単なる災害への備えとの違いが理解されていないためです。

BCPのメリットとして知られているのは、大規模災害時に速やかに事業を再開することで顧客の流出を最低限に防げることや、大規模災害後に早急に事業活動を復旧させることが、企業のリスクマネジメント面においての評価につながり、企業としての信頼性が向上することなどさまざまなことがあります。しかし、介護業界では、このメリットの恩恵をそのまま受けられるわけではないのです。

介護事業者は大企業だけでなく中小企業も多く、その仕事の内容から地域に密着していることが多いです。そのため、顧客の流出を防止できることや企業としての信頼性が向上するといったことが、直接的にメリットとして感じられないのです。これらのことに、理解されない原因の一端があります。

また、常日頃から人手不足な上に人材の出入りも激しいため、BCP策定のための余裕もなければ、従業員への教育や演習のための時間をとるのも難しいといったことも理由の1つです。介護業界でBCPを浸透させるためには、まず介護施設や介護事業所の待遇の改善が必要です。BCPの情報を網羅した『http://kaigo-bcp.com』にも、BCPの課題点を含め勉強になる内容がまとめられています。